目次
1. プロセス制御とは?1.1 プロセス制御とは1.2 シーケンス制御とプロセス制御1.3 サーボ制御とプロセス制御
2. 製造業におけるプロセス制御2.1 市場競争を勝ち抜くための戦略2.2 -業界ごと-
3. プロセス制御におけるDCSとSCADA+PLCの違い:それぞれの役割と最適な利用シーン 3.1 DCS:高度な制御と統合を実現する大規模システム3.2 SCADA+PLC:広範囲な監視と制御を可能にする柔軟なシステム3.3 それぞれのシステムの最適な利用シーン
4. 最新プロセス制御システムで課題を解決4.1 現状のプロセス制御システムの課題4.2 課題解決に向けた最新制御システム
5. プロセス制御システムの未来5.1 AIによる精緻な自動制御5.2 エッジコンピューティングの活用5.3 デジタルツインの活用5.4 AR/VRの活用
1. 導入:プロセス制御とは?
1.1 プロセス制御とは
プロセス制御とは、製造業における原材料から製品までの連続的な製造工程を自動的に制御する技術です。具体的には、温度、圧力、流量、化学組成などのプロセス変数を監視・制御することで、製品の品質向上、生産効率の最適化、コスト削減、安全性向上を実現します。
1.2 シーケンス制御とプロセス制御
プロセス制御と混同されやすいのが、シーケンス制御です。シーケンス制御は、機械や設備の動作順序を制御する技術です。一方、プロセス制御は連続的なプロセスを対象とし、プロセス変数を監視しながら制御を行います。
1.3 サーボ制御とプロセス制御
サーボ制御とは、目標とする位置、速度、またはトルクに、システムの出力を一致させるための制御方法です。特に、位置制御が一般的であり、モーターを正確な位置に動かすために広く利用されています。運動制御は、ロボットや機械システム全体を目標とする運動軌道に沿って動かすための制御です。
2. 製造業におけるプロセス制御
2.1 市場競争を勝ち抜くための戦略
化学や食品などのプロセス産業において、プロセス制御は、企業の競争力向上と持続的な成長に貢献する重要な要素です。従来の対処的なカイゼン活動は、短期的には一定の効果をもたらす可能性がありますが、長期的な視点で見た場合、抜本的な問題解決やグローバル競争力強化には不十分である可能性があります。そこで、より効果的なプロセス制御戦略を構築することで、製品品質の安定化、生産性の向上、コスト削減、安全性向上、環境負荷低減などを実現可能です。具体的には、以下の効果が期待できます。
製品品質の安定化:原材料の状態や製造工程をリアルタイムで監視・制御することで、製品のばらつきを抑え、安定した高品質な製品を製造することができます。
生産性の向上:設備稼働率の向上、歩留率の向上、生産スケジュールの最適化などにより、生産効率を最大限に高めることができます。
コスト削減:エネルギー消費量の削減、原材料の使用量削減、メンテナンスコスト削減などにより、生産コストを大幅に削減することができます。
安全性向上:プロセスを最適化し工程をシンプルにすること、そして危険作業の遠隔操作を可能にすることで、人による作業を減らし従業員の安全と健康を守ることができます。
環境負荷低減:エネルギー消費量の削減、廃棄物の削減、環境規制への対応などにより、環境負荷を低減し、持続可能な社会の実現に貢献することができます。
2.2 -業界ごと- 食品製造業:高品質で安全な食品の安定供給
食品製造業において、プロセス制御の改善は、以下の価値をもたらします。
高品質な食品の安定供給:原材料の状態や製造工程をリアルタイムで監視・制御することで、製品の品質ばらつきを抑え、安定した高品質な食品を製造することができます。
消費期限の延長:製品の状態を適切に管理することで、消費期限を延長し、食品ロスを削減することができます。
トレーサビリティの向上:製造履歴を詳細に記録することで、原材料の産地や製造過程を追跡し、情報公開や品質管理を徹底することができます。
これらの価値により、食品製造業は、消費者の信頼を獲得し、競争力を強化することができます。
化学メーカー: 脱炭素化に向けた効率的なエネルギー活用と高品質で安定した化学製品の製造化学メーカーにおいて、プロセス制御の改善は、以下の価値をもたらします。
高品質で安定した化学製品の製造:精密な温度や圧力制御、反応時間の最適化などにより、高品質で安定した化学製品を製造することができます。
脱炭素化に向けたエネルギー消費量の削減:製造工程におけるエネルギー消費量を分析し、省エネ対策を実施することで、エネルギーコストを削減することができます。これは環境負荷低減に繋がります。
歩留率の向上:化学反応を最適化することで、副生成物の発生を抑制し、原材料の使用量を削減し、歩留率を向上させることができます。
安全性の向上:危険性の高い化学物質の取り扱いにおいて、自動化や遠隔操作を導入することで、労働災害のリスクを低減することができます。
これらの価値により、化学メーカーは、高品質な化学製品を安定供給し、環境負荷を低減しながら、安全性を向上させることができます。
鉄鋼業: 自動化による人手不足解消と省エネで高品質な鉄鋼製品の製造鉄鋼業において、プロセス制御の改善は、以下の価値をもたらします。
生産性向上で人手不足に対応:鉄鋼製造プロセスを最適化することで作業員の手によるタスクを減らし、今後も進展すると考えられる人手不足に対応することが出来ます。
高品質な鉄鋼製品の製造:製鋼工程における温度や圧力、酸素量などを精密に制御することで、鉄鋼製品の強度や靭性を向上させ、高品質な鉄鋼製品を製造することができます。
コスト削減:原材料の使用量を最適化し、エネルギー消費量を削減することで、コスト削減を実現することができます。
環境負荷の低減:排ガスや廃棄物の発生量を抑制することで、環境負荷を低減することができます。
生産スケジュールの最適化:需要予測や原材料の在庫状況などを考慮した生産スケジュールの作成・実行を自動化することで、生産効率を最大限に高めることができます。
これらの価値により、鉄鋼業は、高品質な鉄鋼製品を安定供給し、環境負荷を低減しながら、コスト削減と生産効率の向上を実現することができます。
紙・パルプ業界:高品質な紙・パルプ製品の製造と環境負荷低減紙・パルプ業界において、プロセス制御の改善は、以下の価値をもたらします。
高品質な紙・パルプ製品の製造:紙パルプ製造工程における温度や圧力、薬品添加量などを精密に制御することで、紙・パルプ製品の強度や白度、平滑度などを向上させ、高品質な製品を製造することができます。
歩留率の向上:紙パルプ製造工程を最適化することで、原材料の使用量を削減し、歩留率を向上させることができます。
エネルギー消費量の削減:紙パルプ製造工程におけるエネルギー消費量を分析し、省エネ対策を実施することで、エネルギーコストを削減することができます。
廃棄物・排水量の削減:薬品の使用量を最適化し、排水処理システムを改善することで、廃棄物や排水量を削減し、環境負荷を低減することができます。
水資源の有効活用:水の使用量を最適化し、リサイクル水を活用することで、水資源を有効活用することができます。
これらの価値により、紙・パルプ業界は、高品質な紙・パルプ製品を安定供給し、環境負荷を低減しながら、コスト削減と持続可能な社会の実現に貢献することができます。
プロセス制御におけるDCSとSCADA+PLCの違い:それぞれの役割と最適な利用シーン
製造業において、品質や効率の向上、コスト削減、安全性の確保は常に重要な課題です。これらの課題解決を支える技術として、プロセス制御システムは長年にわたり進化を続けてきました。プロセス制御におけるDCSとSCADA+PLCについて解説します。
プロセス制御において、DCS(Distributed Control System)とSCADA(Supervisory Control and Data Acquisition)+PLC(Programmable Logic Controller)は、いずれも重要な役割を果たすシステムです。しかし、それぞれの特性と最適な利用シーンは異なります。
3.1 DCS:高度な制御と統合を実現する大規模システム
DCSは、複数の制御装置をネットワークで接続し、全体的な制御を行う大規模なシステムです。石油精製、化学プラント、発電所など、連続生産を行う大規模なプロセス制御システムに最適です。-特徴-高度な制御アルゴリズムによる複雑な制御が可能リアルタイムなデータ収集と処理故障診断、異常検知機能統合的な操作画面クローズドなネットワークによる高いセキュリティ
3.2 SCADA+PLC:広範囲な監視と制御を可能にする柔軟なシステム
SCADAは、分散した現場機器からデータを収集し、監視・制御を行うシステムです。PLCは、現場機器の制御を行う小型コンピュータです。昨今ではSCADAとPLCを組み合わせて、PLC
計装のように制御・監視を担うケースも増えています。SCADA+PLCは、水道処理、電力送配、上下水道など、広範囲な監視と制御が必要なシステムに最適です。
-特徴-広範囲なデータ収集と監視遠隔操作による制御柔軟なシステム構成比較的低コスト拡張性が高い
規模 | 大規模 | 中規模 ~ 小規模 |
制御機能 | 高度 | 基本的なもの |
リアルタイム性 | 高い | 比較的低い |
セキュリティ | 高い | 比較的低い |
コスト | 高い | 比較的低い |
柔軟性 | 比較的低い | 高い |
適用分野 | 石油精製 化学プラント 発電所など | 水処理 電力配送 上下水道など |
3.3 それぞれのシステムの最適な利用シーン
DCS:高度な制御と統合が必要な大規模なプロセス制御システムリアルタイムなデータ収集と処理が重要なシステム高いセキュリティが求められるシステムSCADA+PLC:広範囲な監視と制御が必要なシステム柔軟なシステム構成が求められるシステム比較的低コストで導入したいシステム
DCSとSCADA+PLCは、プロセス制御において重要な役割を果たすシステムですが、それぞれの特性と最適な利用シーンは異なります。システム導入にあたっては、それぞれのシステムの特徴を理解し、ニーズに合ったシステムを選択することが重要です。
4. 最新プロセス制御システムで課題を解決
プロセス制御システムは、プロセス産業において重要な役割を果たす一方で、いくつかの課題も存在します。これらの課題を克服し、更なる進化を遂げるために、様々な取り組みが進行しています。
4.1 現状のプロセス制御システムの課題
OTデータの価値の低さ:上位のIT側でデータをまとめてインサイトを得るためには、下位のOT側のデータが価値あるものでなければなりません。現状、人の手によってOT側のデータの加工がなされていたり、十分にデータを活用できていないことが多いといわれています。
複雑性とコスト:プロセス制御システムは、様々な機器やソフトウェアで構成される複雑なシステムです。システムの規模や複雑度が増加するにつれて、設計、導入、運用、保守のコストも増加します。特に、大規模なプラントや複雑なプロセス制御においては、システム全体を統合的に管理することが難しく、コスト負担が大きくなります。
柔軟性の欠如:従来のプロセス制御システム(特にDCS)は、特定の目的に特化して設計されることが多く、柔軟性に欠けるという課題がありました。生産設備やプロセスが変更された場合、システムの改修や更新が必要となり、時間とコストがかかります。変化の激しい現代社会において、こうした柔軟性の欠如は大きな問題となります。
サイバーセキュリティリスク:特にこれまでのクローズドなネットワークでの使用とは異なり、MESやERPとの連携によってネットワークが広範になるに比例して、セキュリティリスクも増大していきます。システムに侵入され、データ窃取や操作改ざんが行われた場合、生産停止や重大な事故につながる可能性があります。従来のシステムは、セキュリティ対策が十分ではない場合があり、サイバー攻撃に対する脆弱性が指摘されています。
人材不足:プロセス制御システムを設計、導入、運用、保守するには、高度な専門知識とスキルが必要です。しかし、近年はこうした人材が不足しており、システムの安定稼働に支障をきたす可能性があります。特に、IoTやAIなどの新技術を活用した高度なシステムを導入・運用するには、専門知識を持つ人材の確保が課題となっています。
2025年問題:経済産業省から発表されている2025年の崖によると、現行システムの老朽化によって起こるセキュリティリスクや対応できる人材の不足によって多大な経済損失が起こると言われています。 この2025年の崖への対応は製造業にとって喫緊の課題となっており、プロセス制御システムにおいても大きな影響を受けることが予想されます。
カーボンニュートラルネットゼロに向けた脱炭素計画:近年、地球温暖化対策として、カーボンニュートラルやネットゼロ社会の実現に向けた取り組みが加速しています。製造業においても、温室効果ガスの排出量削減が求められています。プロセス制御システムは、エネルギー消費量を監視・制御することで、省エネ効果を発揮することができます。しかし、従来のシステムでは、十分な省エネ効果を達成できない場合があります。
4.2 課題解決に向けた最新制御システム
これらの課題を克服し、更なる進化を遂げるために、様々な最新制御システムが開発されています。以下に、弊社の代表的な例を紹介します。
バーチャルPLCでソフトウェアセントリックを実現!Schneider Electric EcoStruxure AutomationEcoStruxure Automation Expertは、オープンアーキテクチャを採用した最新の制御システムです。脱ハードウェア化を実現し、DXの課題を根本的に解決します。OT側のデータをIT側で有効活用できるよう、OT側のデータを標準化し、IT側とのネイティブ接続を可能にする、拡張性に優れた新しい制御システムです。既存の機器を活用して導入可能であり、管理がシンプルですのでコストを抑えた導入が可能です。ソフトの脱属人化を実現し、人手不足を解消します。また、再利用性を高め、大幅な工数削減を実現します。リリース後、日系製造業での導入も増えてきた、最先端のシステム制御システムです。
MES搭載プロセス制御システムMES内蔵のプロセス制御システムを導入して、設備の稼働状況、生産量、不良品率などのデータを可視化しませんか?PLCをベースとした制御システムで、上位側にMESを統合しています。原材料の納入から発送までの水平の流れ、そしてERPから下りてきた注文データに基づきMESで生産計画を立て実際に制御を行う垂直の流れ、工場のプロセスを一括統合して管理するというコンセプトの下でオーケストレーションを行います。オープンで柔軟かつ汎用性が高いため、コストや業務を抜本的にシンプルにします。飲食品製造を含むプロセス制御に対し、110ヶ国2,400以上の工場で採用いただいています。
飲食品製造業界向け プラント向け
5. プロセス制御システムの未来
AIなどの最新技術を用いたプロセス制御システムは、製造業の未来を大きく変える可能性を秘めた技術です。今後、さらなる進化により、製造業の競争力向上や持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されます。
5.1 AIによる精緻な自動制御
AI技術を活用することで、過去のデータや経験に基づいて最適な制御パラメータを自動的に調整したり、異常を検知して迅速な対応を行ったりすることが可能になります。これは、従来のルールベースや経験に基づいた制御では実現できなかった、より精緻な制御です。
5.2 エッジコンピューティングの活用
エッジコンピューティングを活用することで、データ処理を現場で行うことができるため、通信遅延やセキュリティリスクを低減し、リアルタイムな制御が可能になります。これは、特に広範囲にわたるプラントや遠隔地にある設備において効果を発揮します。
5.3 デジタルツインの活用
デジタルツイン技術を活用することで、現実世界の設備やプロセスを仮想空間上に再現し、シミュレーションや分析を行うことができます。これにより、設備の設計・開発や運用・保守を効率化することができます。
5.4 AR/VRの活用
作業員に情報を提供したり、作業を支援したりすることで、作業効率や安全性を向上させることができます。プロセスをデジタル化することで技術伝承やノウハウ共有、トラブル防止、標準化することが可能です。
6. まとめ
プロセス制御システムは、製造業において重要な役割を果たす技術であり、常に進化を続けています。従来のDCSからSCADA+PLCまで、それぞれのシステムの特徴を理解し、適切なシステムを選択することが重要です。今後、IoT、AI、エッジコンピューティング、クラウド、デジタルツインなどの技術革新により、プロセス制御システムは更なる進化を遂げ、製造業の競争力向上や持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されます。
―紹介―DXコンサルティングサービスシュナイダーエレクトリックは自らがメーカーとして製品を生産・出荷する工場や物流拠点を持ち、自社のソリューションを導入してそのスマート化を進めてきた実績を持つ会社です。工場向けのハードウェアだけでなくソフトウェアを幅広くラインナップしていることから、お客様にソリューションとして製品をご提供可能です。スマートファクトリーの定義を5つに分け、お客様の真の課題を現地調査で分析、お客様のビジネス上のゴールを明確にした上で最適なロードマップの提案をいたします。
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