UPSはご利用の電源環境や接続される機器により推奨する製品(UPSの運転方式)が異なりますが、
ここでは電源状態が安定した設置場所でのご利用、シビアな入力電源仕様を要求しない一般的なサーバー、
PC等のコンピューターや周辺機器を接続する場合のUPSの選択方法をご紹介します。
多くの機器では、どの動作方式のUPSを選定して頂いても問題はないと考えられますが、
シビアな入力電源仕様を要求する機器の場合(停電時のバッテリ切換時間の瞬停が許されない、
コンピュータメーカーが正弦波出力のUPSを推奨している等)や、
電源状態が非常に不安定な設置場所で使用する場合等においてUPSを選定する場合は、
負荷機器の仕様や設置場所の環境をよく検討していただく必要があります。
UPSの運転方式による電源環境への対応や出力精度の違いについては、こちらをご確認ください。
【選定条件の確認】
UPS選定において、確認が必要な主な内容は以下となります。
1. 負荷機器 (電源保護対象となる機器) の最大消費電力 (VA/W)
2. 電源環境 (UPSの入力電源) および 負荷機器の対応電圧 (UPS出力)
3. UPS形状
4. バックアップ時間
[UPSの選定例]
サーバー1台, ストレージ1台, スイッチ1台をバックアップするUPSを選定する例をご紹介します。
選定条件例:
1 | 負荷機器の最大消費電力 (VA/W) | サーバー : 350VA/245W |
2 | 電源環境 および 負荷機器の対応電圧 | UPS入力 : 100V UPS出力 : 100V |
3 | UPS形状 | ラックマウント |
4 | バックアップ時間 | 5分 |
負荷機器の最大消費電力を把握する必要があります。
最大消費電力は、各機器の仕様書・カタログ等にて調べるか、機器メーカー様に問い合わせてご確認ください。
・選定にあたっての確認1: 負荷機器の最大消費電力の合計値からUPSの出力容量を選定
UPS一覧から、UPSの出力容量が今回の負荷機器3台の合計値 780VA/545Wより大きく、
入力・出力電圧が100V対応、形状が19インチラックマウント型のUPSを確認します。
赤で囲った1KVA以上のUPSが候補になってきます。
・選定にあたっての確認2 : バックアップ時間
バックアップ時間表からUPSの最大出力(VA/W)が負荷機器の容量以上となるUPSとそのバックアップ時間を確認します。
今回は780VA/545Wで、5分以上のバックアップが出来るUPSを確認していきます。
この例の場合、SMT1200RMJ1U (600Wで11分) 以上のUPSが適しています。
また、サーバー、PC等のコンピューターの接続において、APCではお客様のシステム環境やニーズにあわせた
UPS電源管理ソフトウェア(PowerChuteシリーズ)をご用意しております。
各ソフトウェアのご紹介や選択方法については、こちらをご確認ください。
【UPSに関する主な注意点】
・UPSの電源はコンセントから直接とり、タコ足配線はしないでください。
また、電源ケーブルの接続に延長コードが必要となるようなコンセントから離れた場所に設置しないでください。
UPSの電源仕様にあっていない電源ケーブルに接続すると、電源ケーブルが過熱して火災の原因となります。
・UPSの最大入力電流以上の電流容量のある電源コンセントに接続してください。電源配線が発熱することがあります。
・UPSの電源ケーブルを接続するコンセントの接地線をコンピュータシステム以外の
機器の接地線(特に大電力を消費する機器等)と共用しないでください。誤動作や故障の原因となります。
・UPSは、短時間の商用電源変動に対応していますが、商用電源が常に不安定な環境における
商用電源の修正を目的とした使用には適しておりません。
・UPSにレーザープリンター, コピー機, 冷蔵庫(冷凍庫), エアコン, 電気ヒーター等の断続的に大電流が流れる機器や、
トランス・半波整流器, モーター, コイルを内蔵している機器(掃除機、ドライヤー等)を接続しないでください。
故障の原因となります。
・UPSは一般事務室における事務処理用として開発されたものです。人体/生命に重大な影響をおよぼすような
医療機器の制御、極めて高度な信頼性を要求される原子力/航空宇宙機器等の制御, 工作機械の制御,
交通機関(電車や自動車等)の制御や管制等へは使用しないでください。
・絶縁耐圧試験、絶縁抵抗試験を行うことを禁止します。発煙、火災、故障の原因となります。